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2016年4月29日

熊本の地震について

熊本の地震に際してお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに

被害にあわれた方にお見舞いを申し上げます。少しでも早い復旧を祈ります。

今回のような直下型地震は本当に予測が難しいということを改めて感じるとともに

日本中どこでも震度7クラスの地震が起こる可能性があるということを実感しました。

特に前震で震度7があり再度本震で震度7ということと余震も震度5や6が何回も

起こるということで建物の耐震にとっては非常に条件の悪い揺れ方をしていると思います。

通常の構造設計では一回の地震に対して耐えられるように計算していますが震度7で一度

構造的にダメージを受けた建物はかなり耐震性が落ちていますので2回目の震度7で潰れて

しまった建物が多かったということです。何回も震度7クラスが起こるとそれに耐えられる建物

を作るというのはかなり難しいと思います。現在の建物は地震の力に対してそれ以上の耐力

を持たせて力には力で対抗するという設計になっていますので想定以上の地震が来ると建物

が潰れる可能性が高いです。それに対して昔の木造建築は基礎と柱がつながっていないので

地震が起こっても建物は変形したり移動したりしますが倒壊しにくい構造になっていました。

究極の免震構造だと考えられます。さらに地震時に屋根の瓦も釘で止めていないので瓦が

飛んで建物の荷重が小さくなるので逆に地震力に強くなりますし、土壁や柱梁の仕口が免震

ダンパーのように粘り強い構造になっていますのでそれも地震に対して有効です。

この構造であれば想定以上の地震にも耐えられると思います。それが現在の木造では

基礎と柱を固定してしまったために逆に地震に弱い建物になってしまっていますし地震に

強くしようとすれば筋交いを増やし金物で補強しというように地震力と正面から戦わないと

いけなくなります。昔のような地震と戦わない構造を見直すことも必要ではないかと思います

が現在の建築基準法では基礎と建物は基本的につながないと違反となります。




著:瀧川 嘉彦瀧川建築デザイン事務所


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